村田千尋著「西洋音楽史再入門」
この本は①楽譜、②楽器、③人、④音楽の場と社会的機能、に注目して書かれています。
かなり専門的な本なので私には難しい部分も多かったのですが、色々と知ることができました。
西洋音楽がキリスト教に基づく音楽であることは多くの人が知るところですが、教会音楽から騎士、宮廷へ、サロンへ、市井へと、音楽を担う人々の移り変わりも、わかりやすく書かれています。
また楽譜の変遷、鍵盤楽器の構造の変遷も詳しく書かれています。
興味をもたれた方は一読されることをおすすめしますが、私がひっかかったワードをあげてみます。
・教会では人の声が最上のもの。楽器は悪魔の道具。ただしダビデ王の楽器竪琴と、天使の楽器ラッパは別。
・上の理由で楽器を演奏するのは街中では大道芸人、騎士は家来(ジョングルール=伴奏者)に伴奏させて歌っていた。騎士の歌がトルバドゥール。
・バロック時代は対比が求められたのでテラス状デュナーミクが用いられた。この時代にクレッシェンドはなかった。
・市井において、オペラが出現をして人気を博した。オペラ歌手を休ませるために楽団のみによる演奏をさせることになった。現在に続く演奏会の起源のひとつ。
・17世紀の画家ストロッツィの「リュートを弾く男」の絵は調弦をしているところを描き、これは「時間の無駄」の寓意である。
などなど、ご興味持たれましたか??
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