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2016年5月 2日 (月)

石牟礼道子「苦海浄土」と高山文彦「ふたり」

以前から高群逸枝と石牟礼道子の著作を読まなければ、と思っていた。
Fさんの家で拾い上げ、お借りした「苦海浄土~わが水俣病」を長野への往復の電車の中で読み、続いて日経書評に載っていた「ふたり~皇后美智子と石牟礼道子」を図書館で借りて読んでいる最中に熊本大地震が起こった。

 高群は益城市、石牟礼は水俣市の出身である。

 この大地震で被災された方々の日々の暮らし、胸中を思うに言葉がない。
どうか、安寧の日が一日でも早く訪れますように。

bookさて、この2冊の本だが「苦海浄土」は水俣の芯の部分を、「ふたり」は水俣と石牟礼を外側から包むように書かれていると感じた。

519cvvwx3jl__ac_us160_石牟礼道子は水俣に生まれ、主婦として農婦として働きながら水俣病患者と交流し、夜にはその記録を書きとめ、上梓したのちは作家、詩人として、常に水俣の人々と寄り添って生きている。

 不知火の海で暮らす人々…海の上こそが極楽、と小さな船を自在に操り、獲った魚で焼酎1杯飲むだけの何の贅のない暮らしをしていた人々が、水銀に汚染された魚を食べていたために体の自由を奪われ、極楽であるはずの海は禁じられた海となり、命も奪われた。

「苦海浄土」には人々の暮らし、発病の様子、行政の対応、公害病と認定される経緯などが詳細に書かれている。石牟礼が自分の足で訪ね歩き、目で見た様子が描かれている。

巻末に…「苦海浄土」は石牟礼道子の私小説である」…という一文があった。
確かに水俣は石牟礼自身であって、ルポルタージュという何か他人事を描いているものとは違うと感じた。
「苦海浄土」はすべての人が読まなければならない著作であると思う。読んでほしい。

41rrz9uvgl__ac_us160_続いて読んだ「ふたり~皇后美智子と石牟礼道子」。著者の高山文彦は数多くのノンフィクションを上梓し、小説も書いている作家である。

「ふたり」は石牟礼と美智子皇后の交流・両陛下の水俣訪問・皇后陛下の思い・水俣訴訟・闘病中の石牟礼の現在が書かれている。

2013年10月27日、「全国豊かな海づくり大会」出席のため熊本にいらした両陛下が水俣に立ち寄られ、皇后陛下の強いご希望で急遽、胎児性水俣病患者に会われた。この時の話が全体の核となっている。
雅子妃とチッソの関係がなければ、おそらく両陛下はもっと早い時期に水俣病患者を見舞わられただろう。
ご高齢になられた両陛下が今行かなければの思いで、おそらく周りの意見を振り切ってのご決断だったのではないかと思う。

この作品の中で印象深かった箇所がいくつもあるが、一文を

…無差別大量毒殺行為をおこなったに等しいチッソと、そちら側に立って嘘八百を平気で言いつのりいじめ抜いてきた国家や地方行政…

…湾を埋め立てたその地下には汚染魚が詰め込まれたおよそ3000本のドラム缶が埋まっている…

水俣と福島が重なって見えた。

memoこの2冊の読後感を書くのはずいぶん逡巡したのだが、昨日5月1日は水俣病認定から60年ということで、新聞やネットニュースにも水俣病について大きく触れられていたので、あわててこのブログを書きあげた。

Kimg0185Kimg0184

現在でも病気に苦しみ、しかし認定を受けられない人々も大勢いる。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160501-00000047-mai-soci

不知火の海で漁業ができなくなった人々が山を開き、甘夏ミカンを作っている。
私はこの「きばるの甘夏」を毎年購入して、おいしいピールやマーマレードを作る。
130211_131801
無農薬なので見た目は悪いが、安心して皮まで食べられる。
今年は残念ながら不作で購入数が限られてしまった。
以前に作った写真と
作り方

拙文にお付き合い頂きありがとうございました。

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