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2014年1月19日 (日)

エリザベス・ストラウト著「オリーブ・キタリッジの生活」

41gw2x4rh8l__aa160_エリザベス・ストラウト著 小川高義訳 「オリーブ・キタリッジの生活」 早川書房

OLIVE KITTERIDGE by Elizabeth Strout

作者は1956年メイン州ポートランド生まれ。作家デビューは遅く98年、42歳の時。
3作目の本作で09年度ピュリッツアー賞受賞。

この作品は13篇の短編からなり、13作すべてにオリーブ・キタリッジが顔を出す。
場所はほとんどがアメリカ北東部のクロズビー、小さな港町である。冬は大変に寒い場所のようだ。
時間軸は行きつ、戻りつする。

オリーブはこの町の数学教師。大柄で横柄で、遠慮会釈ない性格。
彼女が溺愛する一人息子のクリストファーがまだ小さかった頃の40代のオリーブから、夫に死なれた後の70代のオリーブまで描かれてるが、彼女は一貫してまさにオリーブ・キタリッジだ。
夫のヘンリーは薬局を経営し、「いい人」である。街の人々は「ヘンリーは我慢しているのだ」と思っている。

13編には死が多くでてくる。猟銃自殺・殺人・猟銃事故・病死…、けっして温かみのある作品ではない。人間関係も危うい人が多い。
ここに出てくる市井の人、誰もが恋人や家族を抱えて、それによって傷つきもし、癒されていく。しかし、決断をし、また人生を切り開いていく力もあるのだ。

オリーブも最後には「息子溺愛」の呪縛が溶けたようだ。「この世界は何なのだ。まだオリーブは世を去ろうとは思わない」、という最後の一文には、老いても変わらぬ人間の好奇心や未来への期待が感じられる。

少し前の拙ブログに村上春樹訳・選「恋しくて」について書いたが、どうしてエリザベス・ストラウトの作品が選ばれなかったのだろうか。適当な短編がなかったのか。

本書の小川高義氏の訳もすばらしい。(ラヒリ「停電の夜に」の訳者だった!)

少し辛口の話が好きな方におすすめの1冊です。

memo今月(2014年1月)の日本経済新聞「私の履歴書」は小澤征爾さんが御自身の半生を執筆されています。
私は昨年「僕の音楽武者修行」を面白く読んだところなので、このコラムも毎日興味深く読んでいます。

memoブクログ→も随時更新中。
三浦しをん「舟を編む」を今頃読みました。誰が読んでも間違いなく面白い作品。(メジャー作品の内容を拙ブログに載せる気はないですが)

memo次に何を読もうかな?と言う時に参考にしているのが、日経紙日曜日の「読書」欄です。現在、図書館から借りて来て手元にあるのはジョン・パンヴィル。さて、面白いかな…。

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